航空機を利用して日本から海外へ渡航する人は年間1,600万人を数え、日本の航空会社で働く乗務員も2万人近くに及んでいます。上空では宇宙からの放射線(宇宙線)が強くなるため、航空機の利用が増えれば、自然放射線に由来する被ばくも増加します。しかし、被ばくの実態は十分把握できておらず、また、上空の宇宙線の組成は特殊で、健康影響について不確かな点が少なくありません。そこで、我々は、航空機搭乗に伴う被ばく線量やその健康影響評価に関連する科学的な知見の収集と整備に努めています。具体的には、最新の数学モデルを用いて宇宙線による被ばく線量を計算するとともに、航空機内での利用に適した線量計等の開発を進め、モデル計算の検証や線量評価法の改善に取り組んでいます。これらの成果の一部を JISCARD上で公開しています。